ステビアは様々な大学や研究機関にて研究されてきた注目の植物です。
世界的に見ると、甘味料としてのマーケットのほうが大きいため、以下に記載した健康・美容・環境面を中心とした研究実績はまだまだ少なく、これからの分野とされています。
◆最近のステビアに関する論文、及び学会発表(2017年4月)
「ルーヴェン・カトリック大学(ベルギー)」などのステビアに関する研究がNature Communications” 誌に掲載された。
甘味料のステビアにインスリンの放出を促す作用のあることがわかったとの内容。
●1.甘味料ステビア
ステビア抽出物は、砂糖のゼロカロリー代替品として非常に人気があります。その植物由来の甘味料は、血糖値にもプラスの効果をもたらすと信じられていますが、それが何故なのかは誰も理解していません。ルーヴェン・カトリック大学細胞分子医学部の研究者達が、その基本となるメカニズムを明らかにしています。彼らは、同大学の他の研究者達や、ルーヴァン・カトリック大学とオックスフォード大学の研究者達と、共同で今回の研究を行いました。
●2. イオンチャネルTRPM5
彼らの実験は、ステビア抽出物の活性成分である、stevioside(ステビオシド)、steviol(ステビオール)が、イオンチャネルTRPM5を活性化する事を発見しています。イオンチャネルとして知られているタンパク質は、極小の荷電粒子が、細胞を出入りするのに通過する極微の経路の一種です。こういったチャネルは、体内の多くのプロセスに関与しています。
TRPM5 (Transient receptor potential cation channel subfamily M member 5) = 一過性受容器電位チャネルサブタイプM5、melastatin-5 (メラスタチン-5)とも呼ばれるらしい。
TRPM5は、何よりも先ず、舌の、甘み、辛味、旨味の味覚認識には欠かせません。
味覚は、TRPM5を活性化するステビア成分のステビオールによって高められてさえいます。この事が、ステビアの極甘フレーバーだけではなく、苦い後味も説明しています。
TRPM5は、膵臓が、食後に十分なインスリンを放出することも保証し、その結果、異常に高い血糖値と2型糖尿病の発症を防ぐ手助けをします。この症状は、大抵、不摂生な生活スタイルの結果として、膵臓が不十分量のインスリンを放出する場合に起こります。
もし、ネズミが、長期間、高脂肪食を摂取すると、糖尿病を発症します。しかし、日用量のステビオシドを与えられたネズミにはあまり発症しません。つまり、ネズミ達は、ステビオシドによって保護されている事になります。ステビアは、TRPM5なしのネズミに対して、この保護効果を与えませんでした。この事は、異常に高い血糖値と糖尿病に対する保護が、ステビア成分によるTRPM5の活性化によることを示唆しています。
●3. ステビア療法は先の話
本研究は、糖尿病をコントロールしたり、潜在的に防止するための新しい治療法の開発に道を開いていますが、先走りするべきではないと、Philippaert氏は警告しています。本研究は基礎研究で、糖尿病用の新しい治療法を考えるのは、まだまだ先の話です。一例を挙げると、ネズミに投与された用量は、人が摂取する、清涼飲料水や他の製品に含まれるステビオシド量よりはるかに大量です。さらに、我々の発見が、すぐに人に対して適用できるのかどうかを明らかにするための研究が必要です。
この事全てが、糖尿病のための新しい治療法が、今後しばらくの間は、開発されることがないことを意味しています。
ステビアが糖尿病に効果があるかどうかは、ネズミを使った実験段階なので、その結果がそのまま人間に当てはまるかどうかについては、今後のさらなる研究が必要なようです。とは言っても、ステビアが糖尿病に効果的の場合、甘党にはかなりの朗報かもしれません。ステビアの大量摂取の問題もありますが、その点についても、今後どんどん研究されていくはずです。
http://www.nature.com/articles/ncomms14733
出典は『ネイチャーコミュニケーション』。 (論文要旨)
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★関連する論文
この論文の内容から、関連する論文を調べてみた。
●TRPM5チャンネルは味細胞の中でも特に、甘味、旨味を受容するⅡ型細胞に発現することがわかっており、その下流のシグナル伝達に関与するも明らかになっている。(福岡歯科大学)
●膵臓のβ細胞に発現するTRPM5チャンネルはインスリン分泌に関与している(東北大学)
●味蕾以外の 組織における 甘味受容体の発現
甘味受容体は蕾だけでなく 、腸管内分泌細胞のような味覚 受容に関与しない細胞にも発現してることが明らかになっている。腸管内分泌細胞における甘味受容体の刺激は、 1(GLP(GLP (GLP-1) およびグルコース依存性インスリ分泌ポペプチド(GIP)のようなインクレチの放出を惹起し、腸上皮細胞におけるナトリウム依存性グルコース輸送体 SGLT1SGLT1 SGLT1SGLT1の発現 を増加させ、 腸管腔からのグルコース吸収を増加させる。(群馬大学院医系研究科 群馬大学院医系研究科)
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インスリンが全身の細胞に作用したときの酵素反応の最初に出現するIRS-1とIRS-2をステビア・エキス成分が、用量依存的に(量に比例して)増やすことは千葉大学の実験で既に確認されていました。
「抗糖尿病作用が期待されるステビアの成分(STV)のインスリンシグナルに対する影響を検討し、インスリン抵抗性改善作用を考察しました。
「脂肪細胞3T3-L1をSTVで刺激し、(1pM~1μM,24時間)、ウェスタンプロットによるインスリンシグナル介在タンパクの発現量及びチロシン(細胞の分化・発達・機能の発現に重要な役割を担うタンパク質)リン酸化を検討した」ところ「STV単
独刺激(1nM)によりIRS-1の有意な発現量増大が観察された。またInsulin刺激(100nM,10分間)を併用したところ、IRS-1及びIR-βのリン酸化及びグルコース取込の促進が観察された。
さらに「既存のインスリン抵抗性改善薬と比較し、非常に低濃度の刺激でインスリンによるIRS-1及びIR-βのチロシンリン酸化が観察されたことから、STVには”顕著なインスリン抵抗性改善作用”がある可能性が示唆された。
◆ステビアに関する国公立大学及び企業による研究実績
東北大学 ・大分県林業試験所 ・福島県立医科大学 ・協和発酵工業㈱ ・千葉大学 ・JAあしきた有機物供給センター ・女子栄養大学 ・内藤環境管理㈱ ・三重大学 ・東京都市場衛生検査所 ・静岡大学 ・兵庫農林水産技術センター ・九州大学 ・鹿児島大学 ・福岡県立福岡農業高等学校
◆学術論文及び研究内容 /研究大学
研究大学 ・機関・企業 | 学術論文及び研究内容 |
東北大学農学部 | 緑茶の約5倍の抗酸化作用 |
東北大学農学部 | O-157及びその他大腸菌、サルモネラ黄色ブドウ球菌セレウス菌腸炎ビブリオエルシニア等の食中毒起因菌の殺菌はするが、乳酸菌ビフィズス菌は殺菌し無い 選択的殺菌作用 |
福島県立 医科大学 | エイズウィルス抑制作用 |
福島県立 医科大学 | ヘリコバクター・ピロリ殺菌作用 |
東北大学農学部 | ステビアを用いたヒスタミン解毒作用 |
谷文雄医学博士 | ステビアが血糖値に及ぼす影響試験 |
愛知アレルギー研究所 本村昌子 医学博士 | ステロイドホルモン剤の副作用抑制 |
住化分析 センター | ダイオキシンの毒性分解作用(96%除去) |
内藤環境管理 | 有機リン有機塩素系薬剤の分解作用 |
内藤環境管理 | ニコチンの分解作用 |
宮崎県都城地区 農業共済組合 家畜診療所研究会 | 家畜の発情促進受胎率向上作用 |
栃木県 酪農試験場 | 採卵数及び正常胚数の少ない牛で採卵成績が向上 |
北日本くみあい飼料 | 肉質の改善と成長比較試験 |
東北大学農学部 | 牛のルーメン内有用菌の増殖作用 |
JBBステビア 研究所 | ステビア堆肥を用いた紋羽病の防除 |
大分県 林業試験場 | 松の立ち枯れ予防 |
JBBステビア 研究所 | 生ゴミの堆肥化 |
福島県立 医科大学 | オーエスキーウィルスの抑制作用 |
協和発酵工業㈱ | クルマエビウィルス感染症に対する効果 |
協和発酵工業㈱ | マダイブリにおける餌成長促進 |
東北大学農学部 | ギンザケへの成長、肉質、食味試験 |
鹿児島大学 | 網掛川流域環境共生プロジェクト |
福岡県立農業 高等学校 専攻化 | ステビア液の発芽発根作用 |
◆国立大学JBB共同研究 学会発表
研究大学 | 学会名/内容 |
東北大学農学部 動物微生物学研究室発表 | 日本畜産学会 ステビアのルーメン内細菌に及ぼす影響について |
東北大学農学部 水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ニオイセンサーによる魚油酸化ど判定法の開発と 天然物質の魚油に対する抗酸化効果測定への適用 |
東北大学農学部 水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ニジマス飼料へのステビア抽出物の添加効果 |
東北大学農学部 水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ニジマスにおけるステビア抽出物の抗酸化油ストレス有効画分について |
東北大学農学部 水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ステビア抽出物の抗酸化性に関する研究-Ⅰ、 抽出物の分画とその抗酸化性について |
福島県立医科大発表 | 抗ウィルス化学療法 研究会 ステビア抽出物の抗HIV活性 |
東北大学農学部応用生物化学科発表 | 日本細菌学会関東 支部総会 腸管出血性大腸菌O-157 H7および他の食中毒起因菌に対するステビア抽出液の殺菌効果 |
東北大学農学部水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ステビア抽出物の抗酸化性に関する研究-Ⅲ、 抗酸化有効成分の解明(1) |
東北大学農学部水産化学研究室発表 | 日本水産学会 ステビア抽出物のニジマスにおけるヒスタミンの解毒作用について |
東北大学大学院 農学研究科 水産資源化学研究室発表 | 日本細菌学会 腸管出血性大腸菌及び他の食中毒起因菌に対するステビア発酵液の雑菌効果 |
福島県立医科大学発表 | 国際抗ウィルス研究学会 (米国サンディエゴ) ステビア抽出物質の抗HIV活性 |
東北大学農学部水産化学研究室発表 | 和漢医薬学会 ニジマスにおけるステビア抽出物のヒスタミン解毒有効画分とその作用 |
福島県立医科大学発表 | 国際抗ウィルス研究学会 (米国ボルチモア) ヒトロタウィルスに対するシアル酸誘導体MNS03と ステビア熱水抽出発酵液の増殖抑制効果の解析 |
東北大学大学院 農学研究科 水産資源化学研究室発表 | 日本水産学会 ニジマスにおける ステビア抽出物のヒスタミン解毒有効画分とその作用 |
東北大学大学院 農学研究科 水産資源化学研究室発表 | 日本水産学会 ニジマスの肉質に及ぼすステビア抽出物の影響 |
東北大学大学院 農学研究科 水産資源化学研究室発表 | 日本水産学会 ステビア抽出液のニジマスにおけるヒスタミン代謝酵素に与える影響 |
福岡県立福岡 農業高校専攻科 | 日本農芸化学会 ステビア粉末由来の高温菌に関する研究 |